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提言

日吉の新しいハイブリッド教育へ

日吉ITC所長:小林 宏充


コロナ禍のため、2020年度春学期、日吉キャンパスにおける授業は、まずは4月30日から4週間、その後春学期すべてが、オンライン授業となりました。非常勤講師を含め日吉キャンパスでは、語学、一般教養科目、実験・実習、少人数クラスなど、多様で履修者数も幅広い科目が開講されます。日吉キャンパスでは、オンライン授業として、ZoomやWebexを用いたリアルタイム授業ではなく、オンデマンド授業を推奨しました。これはリアルタイム授業によって通信状況が不安定になり、授業が成立しないことへの懸念や教員・学生が双方に不慣れなシステムでの授業実施が懸念されたことなどがあげられます。

オンデマンド授業にも、授業時間に事前に準備された教材を閲覧するものや好きな時間に閲覧するものなど、様々な形態があります。いずれにしても、事前に教材が準備されている安心感が教員・学生にはあります。ただ、その教材をどう作成するか、その在処をどう連絡するか、それだけでも様々な方法があり、どのような形態を推奨すべきか、考える必要がありました。日吉ITCの職員さんと相談をして、どのような教材作りをすればよいいか、どのように形式で配信するか、といった教員向けのウェブサイトを作成しました。学生には授業開始前に、その形式を閲覧できるようにofficeなどのソフトのインストールや閲覧テストをしてもらうウェブサイトを準備しました。

日吉キャンパスでは、ITCが独自作成していた「授業支援」システムがありました。これまでは、履修者に授業の連絡や講義ノートの配布、レポート受付、小テスト、アンケートなどに利用されていました。急遽このシステムを利用したオンライン教材の配信、レポート受付とすることにしました。これまでは、少数の方の利用でしたので、顕在化しませんでしたが、利用可能容量を全教員数で単純に割り算をすると1教員あたり50MBしかないことが判明しました。これでは、教材動画を置いておくこともできませんし、写真でとったレポートを受け付けることも困難です。(後に学期末レポート受付のために、容量は増強されました。)

日吉ITCの職員さんといろいろ知恵を絞って、動画はBoxにおいて配信してもらう、レポートもできるだけBoxやGoogleドライブなどで受け付けてもらうなど、対応を変更することになりました。また、春学期すべてオンライン授業となり、推奨はしていないもののリアルタイム授業への対応も視野に入れることになりました。

秋学期は、一部対面授業が許可され、オンライン授業とのハイブリッド形態となります。春学期のオンライン授業の実体記録ならびに利用者の声を集めるために、日吉キャンパスでは学生向けアンケートと教員向けアンケートを実施しました。コロナ収束後の授業形態についてのアンケートでは、教室で授業が受けられなかった1年生は教室での授業の希望が多かったものの、1年生、2年生共に教室とオンデマンド授業を半々、あるいは主にオンデマンド授業の希望がかなりの割合となりました。オンデマンド授業では、通学時間がなく、好きな時間に何度でも閲覧できることで、情報量も多く得ることができる点が良いようでした。

ITCでは、秋学期から新しいLearning Managing System(LMS)としてCanvasを導入します。これは、Stanford, Harvard, Carnegie Mellon, Columbiaなど、著名な大学がこぞって利用しているLMSで、外部アプリケーションとの連携が容易な点が他のLMSより優れています。どんどん便利なアプリケーションが開発され、連携利用が進んでいます。Canvasの大学全体での大規模導入は、日本では慶應義塾大学が初めてとなります。

このシステムの導入により、新しい学びが始まります。教室での対面授業の良いところと、オンデマンド教材の良いところを、ハイブリッドに昇華する新しい教育のステージに移ります。さあ、秋学期からの新しい学びに期待をしましょう。

最終更新日: 2020年10月6日

内容はここまでです。