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提言

混乱のネットワーク@矢上

理工学ITC所長 松尾 亜紀子


2013年度より理工学部ITC所長の職を拝命している。私個人としては、ITCの一ユーザーでありITCの業務一般について自分の専門と関係することは殆ど無いが、慶應義塾として情報化・ネットワーク環境の進化について興味を持っていた教員の一人であった。

昨今、ネットワークインフラは仕事をする上で必要不可欠であり、大学の根幹となる講義ですら、ネットワークが滞ることで配布物の遅延、提出物の不達などの問題が発生し、講義の遂行に支障をきたすこととなる。また、理工学部における11学科の講義において、コンピュータを用いた実習を伴う講義は徐々に増える傾向にあり、そのための講義室不足も慢性的な問題の一つである。ありがたいことに矢上キャンパス新棟建設にあたり新たにITC用に二部屋確保できることとなり、理工学部の諸氏に感謝しているところである。なお、理工学部の特徴として挙げられる研究室単位での活動も、ネットワークインフラに関してはITCがサポートしていることである。

理工学部のネットワークの実情を知るために、時間があれば理工学部の校舎を歩いてみてもらいたい。特に、研究室が連なる建物の廊下を歩いていただくといいだろう。そして、ご自分のスマホなどで無線LANのアクセスポイントを探してみるといい。そこでは、アクセスポイントのリストが“どぉーん”と出てくる。これは、各研究室において無線LANを立ち上げているからである。ざっと考えても理工学部全体で研究室は100を下ることはないことから、その殆ど(知らずに2つ以上挙げているところもあるかと思われる)がアクセスポイントを持っていることを考えると、矢上キャンパスにおける更なる環境整備の必要性がわかる。しかしながら、理工学部としての特徴や自主性を重んじる風土、そしてITC職員の労力を考えると簡単に解決できることでもない。なお、この状況ではkeiomobile2の電波は弱くなり、接続しても通信機能が損なわれることとなる。よって、各研究室での無線LANは必要となり、更なる混雑がすすむのである。どこかで、「えいやっ」と整理整頓が必要となることは分かっているものの、いつでもどこでも使えなければならないというネットワーク環境への要求を考えると、重い腰がなかなか上げられないのが現実ではないだろうか。

学科単位で管理されている教員のメールサーバーの管理も(一部)ITCの仕事であり、ITCは研究発信の最前線を担っているといえる。近々KEIO.JPの新システムへの切り替えも予定されており、今後ともITCは大忙しである。理工学部は理系ということもあり、インターネットに関して詳しいと思われがちであるが、実はそうでも無いのが実情である。学科や分野によって大きく専門が異なることもあり、教員のインターネットに対する知識も大きく差がある。つまり、研究テーマとの関連があるばりばりのエキスパートから、一般人以下の素人まで幅がある。

アクセスポイントの乱立について述べたが、インターネットインフラを取り巻く環境はまだ進化の途中である。10年後には、まったく異なるインフラの登場により我々の使い勝手が全く変わってしまうこともありうる。理工学部ITC所長という職を拝命しても相変わらずインターネット環境の進化を楽しみに待つ一人の教員であり、慶應義塾ITCのがんばりを応援していきたいと思う。

最終更新日: 2014年10月17日

内容はここまでです。