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巻頭言

コロナ対策

ITC所長:中村 修


コロナのニュースが世間を騒がせ始めた頃、ITC担当理事の國領さんから、遠隔授業に関して準備をする必要があるのではないか?と質問されたとき、慶應大学では、数年前から遠隔会議システムのWebexをすべての教員と学生がいつでも自由に利用出来る環境を提供してきているので、遠隔授業も問題ありませんよ!と答えた事を思い出す。リアルタイム型の遠隔授業では、遠隔会議システムを使えば、自由にどこからでも授業ができ、履修者も場所を選ばず授業に参加することが可能である。また、オンデマンド型の遠隔授業では、作成された授業動画のアップロードにboxを利用して頂くなど、既存のサービスの延長線上としてコロナの状況に対応することができた。

遠隔授業は、すべての教員にとって新しいトライアルだったと思う。オンデマンドで配信をするための授業のビデオ撮り環境の構築や映像編集、学生とインタラクティブな授業を実施する為の様々なツールの検証など、新しい授業形態に向けて創造的な活動がおこなわれた事と存じる。大学における研究教育活動のインフラを支えるITCとしては、遠隔会議システムをはじめ、キャンパスとインターネットの十分な帯域を確保したネットワーク環境、社会の情報環境と壁を作らないネットワーク運用、学生・教職員間の良好な情報共有のためのサービスの整備、様々なサービスを展開するための学生・教員の認証基盤など、以前から継続的に整備してきた環境は、突然発生したコロナという状況の変化にもそれほど慌てることなく対応できた。遠隔会議システムに関して、海外、特に米国との研究活動等で使い慣れたZoomの利用に関する要望が多く、2020年度の春学期半ばからその利用を開始したが、これもGoogleやマイクロソフトなどの利用環境に於いてkeio.jpによる認証基盤の整備が出来ていた為、サービスの早期提供が可能となった。

遠隔会議システムの利用者は、徐々に増えてきていたが、すべての教員や学生などが常時利用するという状況には至っていなかった。遠隔授業に向けて、すでに利用経験のある教員による情報提供や講習会等、それぞれの学部主体で実施して頂いた。本来ならITCが率先して講習会などを実施しなければいけなかったが、各学部の御対応にこの場をお借りして感謝を申し上げさせて頂きたい。

コロナの状況の中、大学もDX(デジタル・トランスフォーメーション)への変化が加速的に求められる状況となった。大学全体としては、授業支援システム(湘南藤沢キャンパスでは、SFSシステム)をはじめ、様々な書類の提出なども少しずつオンライン化がおこなわれてきたが、今後の学生へのサービスや学内業務の効率化などを考えると、より一層のオンライン化と分かりやすいユーザインターフェイスが必要である。現在、新しい授業支援システムとして国際的に利用されているLMSであるCanvasの導入が検討されている。SFCでは、独自の授業支援システムとして内製したSFSを利用してきたが、新LMSは、Canvasを用いた開発が進んでいると聞いている。義塾では、各部門が独立にサービスのオンライン化をおこなっている現状の中、ITCは、ネットワークの提供、イントラ・クラウドサービスの提供、keio.jpによる共通認証サービスの提供などを今までおこなってきたが、今後の義塾全体のDX化を加速させるために、経営改革推進室と連携しながら、各部署への情報提供、セキュリティやサービス間連携などの為、システム開発・導入におけるコンサルティング業務により一層注力してく必要があると考えている。

最終更新日: 2020年9月18日

内容はここまでです。