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特集

ネットワーク管理者向けセミナーの開講

ITC本部 助教:中村 優一


ITC本部助教に着任してから早一年が経ち、この度は年報へ寄稿する機会まで頂戴した。そこで昨年度から始めさせていただいたネットワーク管理者向けセミナーについて振り返ろうと思う。

ことの発端は、助教着任前の採用面談だったと記憶している。ITC助教になったらやってみたいことを聞かれ、「せっかく助教になるのだから、普段の業務に加え、何か人に教えるようなことをやりたい」と申し述べたのだった。その後採用が決まり、年度事業計画としてセミナーの開講を盛り込んで頂いた。内容は私が決めて良いとのことで、不安もあったが正直なところ、開講の機会を得られたワクワクが心の大部分を占めていた。

セミナーでは、理工学部の各研究室のネットワーク管理者が最低限知っておくべき基本知識をお伝えすることにした。理工学部に所属する研究室の多くは、規模や形態に違いはあれど、研究室で管理するネットワークを持っている。具体的には外部向けウェブページや研究室内での生活回線、研究資料保管のためのストレージなどが含まれる。しかし全ての研究室がネットワーク管理に詳しいわけではなく、平常時の管理方法や注意点、トラブル発生時の対処法などに明るくない場合も少なくない。また管理が行き届いていても、管理者の卒業などで突然管理されなくなるケースも存在する、その一方で、理工学ITCはネットワーク管理に関する実際的な知識と技能を持つだけでなく、理工学部特有のネットワーク構成や設定事項、トラブル発生時や設定更新時の各種連絡先なども熟知している。各研究室のネットワーク管理者に向けて管理上必要な知識を提供し相談窓口や問い合わせ先なども周知できれば、管理者全体の知識レベルを底上げするだけでなくネットワーク管理に関する不安を減らし、結果として理工学部全体のネットワーク環境の改善につながるだろう。

当日のセミナーではネットワーク管理について、基本事項から実例に基づいた注意事項まで、理工学部特有の管理情報を交えながら説明した。本説明は「把握」「管理」「維持」の3点を軸に構成した。これら3点は即ち、管理者の担当であるネットワークについて、最新の構成・状態を常に「把握」すること、接続された機器の動作やその配線を「管理」すること、現管理者以外でも対応できるよう、ネットワーク構成を表す図や作業ログなどを記録し、自身が動けない場合や管理者交代後も見据えたネットワークの「維持」に努めることである。ネットワークは機器の追加・交換・廃棄や居室の移転、ウェブページの更改やセキュリティアップデートなど様々な要因で度々変更を迫られ、管理者はそれにいつでも対応する必要がある。これはネットワーク管理の醍醐味かもしれないが不確定要素も多く、時には初心者にとってハードルの高い作業も伴う。そのような状況でも上記3点を押さえていれば現状を明確に捉えることができ、落ち着いて作業に臨める。

このほかの内容として、昨今の大学へのサイバー攻撃を鑑み、ネットワーク管理に加えて身近に潜む不正アクセス攻撃について、実例を交えた傾向と対策を盛り込んだ。特に不正アクセス攻撃は利用者が持つアカウントそれぞれが攻撃対象となるため、その対策にはネットワーク管理者だけでなく利用者一人ひとりの協力が必用不可欠になってくる。本セミナーをご受講くださった管理者から利用者へ攻撃対策が周知され、当該ネットワーク管理の一助となることを切に願う。

本セミナーの開講時期は昨年の初回こそ秋であったものの、今年はネットワーク管理者の交代時期を狙い、春先に設定した.またできるだけ多くの管理者にご受講いただけるよう、同じ内容にて複数回、異なる曜日に開講した。必然的に初心者向けの内容となったため、セミナー受講者へのアンケート調査では大変分かりやすかったとの意見を頂戴した反面、簡単な内容ばかりで物足りないという意見も頂戴した。今後はよりアドバンスドな内容を扱うセミナーも開講し対応したい。


最終更新日: 2017年9月15日

内容はここまでです。