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提言

トップランナーであるために

湘南藤沢ITC所長 植原 啓介


湘南藤沢ITCの所長を拝命してから1年になりました。キャンパスのICT環境に責任を持つ立場になり、一番強く感じたことは、先進的な環境をユーザに提供することが如何に難しいかということでした。

湘南藤沢キャンパスは、全塾に先駆けて新しいことにチャレンジするという役割を担っていると考えています。しかし同時に、日々の研究教育活動も行われているわけで、不安定なシステムを運用するわけにはいきません。このため、非常に気を使った運用が求められてきます。また、少し気を抜くと、単なるリプレース・メンテナンス作業に落ち着いて、社会から取り残される結果となります。

ここ数年、社会ではクラウドが普及し、多くのサービスがデータセンター上で提供されるようになりました。ネットワークさえあればサービスが受けられる環境となったことを受け、他大学では計算機室の運用をやめて、BYOD (Bring Your Own Device)で授業を進めると言う決断をしたところもあります。一方、自分のキャンパスに目を向けると、あまりそのような動きは活発化していません。これには良い面も悪い面もあると思っています。クラウド環境は、何処にいてもどんなデバイスからでも同じシステムを利用できるという意味で、先進的であり魅力的です。反面、データはクラウド上に蓄積されることになり、情報流出のような事件も起きています。また、全世界でサービス展開をしているシステムに対して、キャンパス独自のサービスを追加することは必ずしも容易ではありません。

このような中、湘南藤沢キャンパスでは、2013年度にはクラウド型のオンラインストレージサービスを導入しました。このシステムは、インターフェイスはいわゆるクラウドサービスのそれであるものの、データはオンプレミスでキャンパスに設置されたサーバ上に蓄積されています。このため、データについてはキャンパスで責任を持つことができ、ユーザは自分が普段利用しているデバイスからデータにアクセスできるという環境を実現できました。

このように、社会の潮流をとらえつつ、更にその先を行くようなサービスをユーザに提供していく必要があります。そのためには、ITCだけでICT環境を設計運用するのではなく、教職員や学生とも議論を深め、ユーザからはいま何が求められているのかを把握し、それを技術的予算的にどこまで実現できるのかを考え、実装していくことが必要です。特に湘南藤沢キャンパスは文系理系を問わず、様々な分野の研究が進められています。ITCがそれらの全ての研究分野を把握することは困難です。キャンパスで行われている様々な分野の研究が協動し、シナジーを得るためには、現在世の中に無いような先進的な環境を実現していく必要があるはずです。また、それは湘南藤沢キャンパスという特殊な環境の中でこそ実現できるものかもしれません。

最終更新日: 2014年10月17日

内容はここまでです。